米国の景気動向とドルの行方

米国の景気の停滞は一時的

FXをしているものにとってドル買い、円売り、いつ円安トレンドが発生するかが非常に気がかりであろう。本レポートでは、FX投資の重要なテーマについて考えてみたい。

 

5月以降、市場は、ギリシヤ問題と米景気先行き不透明感、主としてこれらふたつの要因によって、リスク回避を強めてきた。しかし、いずれの不透明感も次第に解消し、リスク選好が回復すると考える。その結果、円相場は下落基調となろう。

 

ギリシヤ債務問題で広がったリスク回避行動はひとまずピークアウトした。根本的な問題の解決には遠いものの、議会において内閣が信任され、5年間にわたる財政緊縮策が承認されたことから、すでに昨年決定していたEU・国際通貨基金(IMF)の資金支援枠につき継続実施への道が開かれた。目先の同国債のデフォルトが回避されたことで、株式市場、その他リスク資産全般に広がっていた調整局面は終了している。

 

この問題に関しては、欧州金融機関がかかえる債券で損失が発生する懸念も取り沙汰され、短期金融市場にもやや不安感が広がりかけた。しかしこれも大事には至らず、市場は落ち着きを取り戻した。

 

もう一方のファンダメンタルズに関しては、5月以降、米経済指標に期待はずれなものが続き、景気先行き不透明感が台頭してきた。こうした状況については、概ね、「ソフトパッチ」すなわち一時的な景気停滞局面との見方が大勢だろう。米連邦準備理事会(FRB)も夏・秋以降は景気は勢いを取り戻す。

米国の長期金利は底打ち

米国の長期金利は、4月以降、低下基調をたどってきた。量的緩和第2弾(QE2)の終了によっても、FRBの緩和的なスタンスは不変との見方が、当初はその流れを支えた。さらに既述のリスク回避的環境が、投資家の安全志向を強め、資金がリスク資産から米国債へと流入した。その結果、QE2の終了が視野に入っているにもかかわらず、主として需給面から米長期金利は低下してきたといえる。

 

ただ、その金利低下も、2年債利回りが0.4%を割りこんだところで行き過ぎとなったのではないか。入札が不調となり利回りは自律反発している。これに経済指標の持ち直しが加われば、米長期金利は底打ち、上昇基調をたどろう。

 

ドル相場は、米長期金利の低下にもかかわらず、さまざまなリスク資産の売却、資源国通貨や高金利通貨の売却、ドルヘの資金逃避によって、堅調に推移してきた。投機的なドル売りポジションはこの間、縮小している。

 

逆に、不透明要因が解消し、リスク選好が回復した場合、ドルは相変わらず様々な通貨に対して下落する可能性がある。すなわち、米金利先高感あるいは利上げがなおも遠いとの観測からドルキャリートレードが再度活発化し、ドルに下落圧力を強めそうだ。しかしファンダメンタルズを伴って米長期金利か上昇基調となれば、少なくともドル安にはブレーキがかかり、あるいはドルは反発局面を迎えよう。

 

そうしたなか円相場はどうか。リスク回避十米長期金利低下、という最もドル安円高となりやすい状況にあってもドル/円相場は下落しなかった。これは貿易収支が赤字に転落するなど需給面での円の弱さを示している。まずリスク回避が解消すれば、豪ドルなど資源国通貨や高金利通貨に対して円は明確に下落しよう。

 

さらに、米金利が反転上昇に転ずる可能性が大きいことから、世界にクレジットリスクが台頭している今、日米金利差の拡大につれて、夏以降、ドル高円安が強まりそうだ。 ドル/円相場は緩やかながらも85円を目指し、年末にかけて90円を目指す展開となるのではないか。

最新の為替相場(FX)欧州時間は、米国株式先物の推移などを考慮してドル円やクロス円通貨がアジア時間の急騰からの下落に歯止めをかける格好となったものの、その後スイスフランが急騰すると、ユーロやポンドが下落する展開を強めたためにその他の主要通貨も頭の重たい展開となり、これらのクロス円通貨も値を下げる動きとなった。一方ドル円は、主要通貨に対するドル買戻しの流れの影響で、アジア時間に示現した高値に迫る水準まで値を回復する動きを演じる事となった。